ドライアイ
なみだの量が不足したり、質のバランスが崩れることにより、なみだが均等に行きわたらなくなる病気です。現在、日本において800-2000万人ものドライアイ患者がいると推定され、潜在患者はさらに多いと考えられます。高齢化、パソコン・スマートフォンなどのVDT作業、コンタクトレンズ装用の増加などにより患者数が増加しています。
ドライアイの症状の主な症状は、眼が疲れやすい・眼がゴロゴロする・眼がかすむなどです。当院では、生活習慣などの改善や点眼治療から開始し、点眼加療で改善しない場合には、涙点プラグ(複数の取り扱いがあります)、涙点焼灼術が可能です。
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キープティア
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SEプラグ
シェーグレン症候群
涙腺や唾液腺などの外分泌腺がリンパ球によって破壊され、涙液や唾液の分泌が低下して、ドライアイやドライマウスを発症します。中高年の女性の患者様が多く、重症ドライアイを引き起こすことがあります。また、リウマチなどの全身疾患を伴うことがあります。当院では、シェーグレン症候群が考えられた場合は、シルマーテスト等で精査が可能です。また、口腔外科や膠原病内科に御紹介させていただくこともあります。
マイボーム腺機能不全
マイボーム腺は上下の眼瞼に存在する外分泌腺で上眼瞼に30-40個、下眼瞼に20-30個存在し、脂質(マイバム)を分泌しています。マイバムはなみだの最表層を形成し、なみだが乾かないに機能しています。マイボーム腺の働きが悪くなると涙が乾きやすくなり、ドライアイになります。マイボーム腺機能不全の症状としては、眼不快感、異物感、乾燥感、圧迫感などの症状があります。マイボーム腺機能不全の治療としては、瞼を温めたり、清潔にしたりする治療法が行われています。
白内障
眼の中の水晶体(カメラのレンズに相当する部分)が濁る病気です。自覚症状としては、見づらい、かすみ目、まぶしい2重・3重に見えるといった症状が出現します。加齢により進行し、糖尿病、アトピー性皮膚炎、外傷などによって起こる場合もあります。白内障が進行してメガネでも日常生活に不自由を感じるようになったら、医師と相談して手術の時期を決めましょう。当院では手術は行っていませんので、連携施設や、患者様ご希望の病院へ紹介状を作成します。
緑内障
視神経が障害され、視野が狭くなる病気です。眼圧上昇が原因の一つと考えられています。眼の中には、房水と呼ばれる液体が流れています。眼のかたちは、房水によって保たれており、これを眼圧と呼びます。眼圧の正常範囲は10-21mmHgです。緑内障は、初期では自覚症状はありません。多くの症例は、健診・ドッグや眼科を受診された際に指摘されて、見つかることが多いです。
緑内障は、房水の排出がうまくいかない原因により、主に2つのタイプがあります。1つは、線維柱帯と呼ばれる部分が目詰まりして、排出が上手くいかず眼圧が高くなる開放隅角緑内障というタイプ、もう1つは隅角が閉じているため房水が排出されにくくなっている閉塞隅角緑内障というタイプです。
緑内障の検査
眼圧―直接、眼の表面に測定器具をあてて測定する方法と眼の表面に空気をあてて測定する方法があります。
眼底―視神経の状態を見るために、視神経乳頭部を観察します。
OCT―視神経線維層の厚みや視神経乳頭の状態を評価します。
視野―視野の欠損の存在の有無や大きさから緑内障の進行具合を測定します。
緑内障の治療
眼圧を下げて、視野を保つことが治療になります。一般的には、点眼治療を行い、点眼でも眼圧が下がらない場合には、レーザーや手術を行います。一度、失った視野は回復することはありません。今の見え方を保つために、適切な治療を受けて、眼圧を下げることが重要です。
眼瞼痙攣
眼の周りの筋肉が本人の意思にかかわらず、収縮してしまう病気です。当院では、ボツリヌス注射(製品名 ボトックス)を眼の周りに注射し、動きを抑える治療を行っています。効果は永続的ではなく、3-4か月たつと再注射が必要となります。
ぶどう膜炎
ぶどう膜炎は、眼の中の虹彩、毛様体、脈絡膜からなる、非常に血管の多い組織「ぶどう膜」に炎症が起こる病気です。病原菌(細菌・ウィルス・寄生虫など)による感染性のもの、免疫異常によるものなどがありますが、原因不明のことも多いです。日本では「ベーチェット病」「サルコイドーシス」「原田病」が全体の40%を占め、3大ぶどう膜炎と呼ばれています
眼精疲労
眼精疲労とは、視作業(眼を使う仕事)を続けることにより、眼痛・眼のかすみ・まぶしさ・充血などの目の症状だけでなく、頭痛・肩こり・吐き気などの全身症状が出現します。
近年では、パソコンやスマートフォンなどの普及により、目の不調を訴える方が増えてきています。
麦粒腫 霰粒腫
まぶたの分泌腺が炎症を起こす病気です。「ものもらい」「めばちこ」と呼ばれます。麦粒腫は、化膿性炎症でまぶたの分泌腺や毛穴に細菌が感染して起こります。霰粒腫は、無菌性の肉芽腫性炎症です。マイボーム腺の出口がふさがってしまうことが原因で炎症を起こします。
糖尿病網膜症
眼の奥には、網膜という神経の膜があり、たくさんの毛細血管があります。糖尿病の患者さんの血液は、糖が多く固まりやすい状態になっているため、網膜の毛細血管を詰まらせたり、血管の壁に負担をかけて、眼底出血を引き起こしたりします。そのため、血液の流れが悪くなり、網膜に酸素や栄養素が不足し、これが糖尿病網膜症の原因となります。糖尿病網膜症は、網膜の状態などから、単純網膜症→前増殖網膜症→増殖網膜症の3つに分けられます。
単純網膜症→眼底所見として毛細血管瘤、出血、硬性白斑がみられます。
前増殖性糖尿病網膜症→眼底所見として、軟性白斑や血管がつまり、酸素欠乏になった部分が見られます。静脈が異常に腫れて、毛細血管の形が不規則になります。
増殖網膜症→眼底所見として、新生血管、硝子体出血、増殖膜、網膜剥離がみられます。
加齢黄斑変性
黄斑(網膜の中心部にあり、ものを見るための最も重要な部分)の加齢による変化によって起こる疾患です。脈絡膜から発生する新生血管を伴う「滲出型」と細胞の組織が徐々に萎縮する「萎縮型」に分類されます。
滲出型加齢黄斑変性
脈絡膜新生血管が発生し、黄斑が障害されます。病状の進行が速く、急激な視力低下をきたします。
萎縮型加齢黄斑変性
加齢によって、網膜色素上皮細胞とブルッフ膜の間に老廃物がたまり、網膜の組織が徐々に萎縮していくタイプです。病状の進行は緩やかで視力もすぐには悪くなりません。
当院では、光干渉断層計(OCT)を使用して、網膜の断面を調べます。治療が必要な場合には、適切な医療機関にご紹介させていただきます。
花粉症・アレルギー検査
アレルギーとは、外から入ってくる異物に対して、体の免疫反応が過剰に起こることをいいます。目のアレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)としては、ハウスダストや花粉などが代表的です。アレルギーを起こすと、目やまぶたがかゆくなり、充血をきたし、白っぽいメヤニがでます。治療としては、初めに抗アレルギー薬の点眼を使用し、かゆみが残る場合には、ステロイド剤を追加します。毎シーズン花粉症を発症されるかたは、花粉が飛散する2週間前から治療を始めると、症状がでる期間を短くし、症状を軽くすることができるといわれています。当院では、2種類のアレルギー検査が可能です。ご希望の方は、お申し出ください。
・イムノキャプブラピット
指先からの採血なので、お子様でも検査が可能です。今回の受診で結果がでます。所要時間は約20分です。検査の費用は保険適用で3,000円ほどです(診察料別途、3割の場合)
測定できるアレルゲン
ハウスダスト系
ヤケヒョウダニ・ゴキブリ・ネコ・イヌ
花粉系
スギ・カモガヤ・ブタクサ・ヨモギ
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イムノキャプブラピット
・view39抗体検査
39項目のアレルギーを1度の採血で検査することができる血液検査です。問診から原因アレルゲンが推定できない方、学童期以降のアトピー性皮膚炎の方などの感作アレルゲンのスクリーニング検査として有用です。検査費用は保険適用で5,000円ほどです(診察料別途、3割の場合)。
測定可能な39項目
・吸入・その他
ヤケヒョウダニ・ハウスダスト1・ネコ皮屑・イヌ皮屑・ガ・ゴキブリ・スギ・ヒノキ・ハンノキ・シラカンバ・カモガヤ・オオアワガエリ・ブタクサ・ヨモギ・アルテルナリア(スズカビ)・アスペルギルス(コウジカビ)・カンジダ・マラセチア・ラテックス
・食物系
卵白・オボムコイド・ミルク・小麦・ソバ・米・エビ・カニ・大豆・ピーナッツ・鶏肉・牛肉・豚肉・マグロ・サケ・サバ・キウイ・リンゴ・バナナ・ゴマ
view39抗体検査について
飛蚊症
明るい所、白い壁、青空などを見ていると、虫や糸くずなどが飛んで見え、目をこすっても消えない、目を動かすと虫のようなものも一緒に移動する、このような症状を飛蚊症といいます。これは、網膜の前方にある透明な組織「硝子体」に生じたにごりが網膜に映るため、虫やゴミのように見えるのです。
もともと硝子体には多少の濁りがあり、また加齢とともに濁りが生じてきます。このような生理的なものや加齢による飛蚊症は心配はありません。
ただし、急に飛蚊症がひどくなったときは、網膜裂孔、網膜剥離、硝子体出血など眼の病気の可能性があります。強度近視の方やアトピー性皮膚炎の方は網膜剥離の危険性が高いためとくに注意が必要です。
急に飛蚊症がひどくなったときは、早めに眼科で診察を受けましょう。
結膜炎
結膜は、くろめ(角膜)のふちからまぶたの裏側までをおおっている粘膜です。白目の表面のところは、眼球結膜、まぶたの裏側のところは眼瞼結膜とよばれます。この結膜が、いろいろな原因で炎症を起こした状態が結膜炎です。結膜炎は、アレルギー反応、細菌、ウイルスなどの微生物、ほこり・ごみなどの物理的刺激、などさまざまな原因で起こります。ウイルス性の結膜炎は、ウイルスの種類によって、流行性角結膜炎(はやり目)、咽頭結膜炎(プール熱)、急性出血性結膜炎があります。ウイルス性の結膜炎は、患者様の目の分泌物が原因で伝染し、伝染性も非常に強いので、感染予防が大切です。また、アレルギー性結膜炎は、花粉やダニ、ハウスダスト、コンタクトレンズなどが原因となります。
角膜感染症
細菌やカビ、ウイルスなどの病原体が角膜に感染し、炎症を起こしている状態です。眼の異物感、痛み、まぶしさ、見づらいなどの症状がでます。ばい菌の種類によって、抗菌剤やカビに対する抗真菌剤、抗ウイルス剤などを投与します。
角膜ヘルペス
ヘルペスウイルスは、多くは乳幼児の頃に初感染を起こし、体の中の神経組織に潜むようになります。いったん、神経組織に潜んでいたウイルスは、発熱、紫外線、ストレスなどをきっかけにして再び活動を開始し、角膜へ移動して角膜炎を起こします。抗ウイルス剤による治療により治癒しますが、その後も再発を繰り返す例があります。
網膜裂孔・円孔
近視や加齢によって、網膜に孔が生じます。網膜裂孔や円孔を放置すると、孔を通して、網膜の中に液が入り、網膜剥離が生じ、失明の原因が高くなります。治療は、網膜剥離を予防するためにレーザー治療を行います。レーザー治療では、網膜裂孔・円孔の周囲にレーザーで熱による癒着をつくり、網膜剥離の進展を予防します。
近視進行抑制
・低濃度アトロピン点眼薬
低濃度アトロピン0.01%点眼薬について
本製品はAtropine(アトロピン)0.01% 配合のお子様の近視進行を抑制するための目薬です。
低濃度アトロピン0.01%点眼薬は、小児期の近視の進行を軽減させることを目的にSingapore National Eye Centre(SNEC :シンガポール国立眼科センター)の下記の研究に基づいて開発・製造されています。
このようなお子様におすすめです
- ・軽度または中等度の近視の方
- ・6歳~12歳の学童の方
- 1ヶ月~3ヶ月毎に来院し、診察・検査を受けましょう。
- 本治療は自由診療となります。
低濃度アトロピン0.01%点眼薬の特徴
- 日中の光のまぶしさに影響を及ぼないため、サングラスもほぼ不要です。
- 目の遠近調節機能(手元を見る作業)に殆ど影響を与えません。よって近見視力の低下にあまり影響を与えず、近用の眼鏡も不要と言われております。
- 各容器(1本・5ml)は両眼用に1ヶ月間の使い切りになっておます。
- 本製品はGMP(医薬品製造管理および品質管理基準)準拠の工場で製造されています。
- ◆近視の進行が完全に止まるわけではありせんが、少なくとも2年間継続して使用することで何もしない方と比べ近視の進行を軽減できたという報告を基にしてます。
近視の進行を抑制することが大切な理由
子どもの近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピント位置がずれることにより生じるケースが多くあります。
近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることがありません。そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するためには重要となります。
低濃度アトロピン0.01%点眼薬が選ばれる理由とは?
低濃度アトロピン0.01%点眼薬は、近視の進行を遅らせる(眼軸長の進展を抑制する)という点で統計的にも臨床的にも有意義な効果が確認されている治療法の一つです。
- 重篤な副作用の報告はありません。
- ※この薬の本来の作用により、一時的に瞳孔(黒目)が大きくなりまぶしく感じますが、数時間で元に戻りますのでご心配ありません。
- 近視の進行を平均約60%軽減させる良好な点眼薬と言われております。
低濃度アトロピン0.01点眼薬は、最適な超低濃度(0.01%)のアトロピンを点眼することにより、近視の進行スピードを効果的に抑えると同時にアトロピン1%点眼薬のような不快な副作用を回避します。
治療の流れ
まず初診でご受診下さい。別日で調節麻痺点眼を用いた精査を行います。ここまで保険診療となります。
治療適応ありとなった場合、別日で一度受診していただき治療を開始いたします。ここから自由診療となります。点眼薬を1本(1ヶ月分)処方いたします。1ヶ月後に再診していただき、検査・診察ならびに点眼による副作用の有無をチェックします。問題なければその後は点眼薬を3本(3ヶ月分)処方致します。
以後3ヶ月ごとに受診していただき、検査・診察と点眼を3本処方します。
治療費用
検査・診察費 2000円(税込み)
マイオピン 0.01%(1本あたり)/3500円(税込み)
マイオピン 0.025%(1本あたり)/4000円(税込み)
くわしく知りたい方はこちら
・クロセチンによる近視進行予防
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クリアビジョンジュニアEX
臨床研究に基づいたクロセチン7.5mgを配合したロート製薬のクリアビジョンジュニアEXを取り扱いしています。クロセチンはクチナシ由来の色素成分で、近視進行抑制に関連する遺伝子の1つである「EGR-1」の発現量を増やす効果があることが確認されました。購入には診察が必要です。(税込み3240円)
慶應義塾大学医学部眼科学教室プレスリリース